夏と言えば!
そうですね、怪談話です。
そこで、私の体験談でもどうですか?
なぜか話すたびに人を笑わせてしまう心霊体験をお届け。
※ホラーではありません。
そうですね、怪談話です。
そこで、私の体験談でもどうですか?
なぜか話すたびに人を笑わせてしまう心霊体験をお届け。
※ホラーではありません。
私は、霊感がそこそこあるらしいんです。
昔から、見たり聞いたり嗅いだり感じたり、ってことはよくありました。
幻覚・幻聴と言うべからず。
親いわく、家系だそうです。
見える家系、というよりは御加護があってもおかしくない家系で。
……御加護があったら見えないもんじゃないの?
というのは考えないようにしてます。
さて、前置きはこの程度に。
私の、ちょっとした心霊体験を――
あれは私が高校生の時のことです。
蒸し暑い日でした。
寝苦しかったのでしょう。ふと目が覚めたんです。
人影を感じて横を見ると、
誰かがいる。
上半身だけ。
2段ベッドの上段に寝ていましたから、はしごの上に立っているんだな、と不思議には思いませんでした。
窓に背を向けていたので顔は見えず。
輪郭だけが浮かび上がっていました。
ああ、弟だ。
そう思いました。
親がこんな時間に来るわけもない。
妹はこんなに大きくない。
だから、弟以外にはありえないんです。
それに、弟とは同じ部屋で寝起きしてましたからね。
よくあることだったんです。
寝つけない方が寝ている方を叩き起こしてゲームにつき合わせる、っていうの。
このときも、どうせそういうことだろうと思いました。
しかし、その時の私はものすごく眠たかった。
眠い、というより体が重かったんです。
「眠りたいから、そっとしといて?」
そう言おうとして、声が出ないことに気付きました。
きっとかすれているんだ。
寝る前に飲み物をとっておいた方が良かった。
そんなことを思いながら、弟と反対の方向に顔を向けました。
こうすればいくらなんでも分かるはずです。
弟も諦めるでしょう。
しかし、諦めてはくれなかった。
顔に手をかけて、ぐりんっ、と自分の方に顔を向かせたのです。
正直、かなり驚きました。
弟には絶対服従を強いているので(ひどい姉です)、こんなことするはずがない。
一発殴ってやろう。
凶暴な発想を胸に、起き上がろうとしました。
が、体が動かないのです。
動かない、というのは正確ではありませんね。
身体が鉛になってしまったかのように、ひどく重たかったのです。
俗に言う、金縛りだったんでしょう。
身体が寝ているんです。頭ははっきりとしているのに。
弟を見ると、影しか見えなかったのですが、笑っているようでした。
ものすごく腹が立ちました。
そして、なぜか自分は、
「こいつが金縛りやってんだな」
と、冷静に考えればありえないことを思ったのです。
相手は弟だと思っていたんですけど。
なぜか、そう思ったんです。
ぶちっ
漫画なら、そんな音がしていたでしょう。
金縛りにおとなしくあわされているなんて。
あまつさえ、笑い物にされているなんて耐えられるはずもありません。
腕に力を込めました。
ぐぐっと持ち上げると、少しずつですが持ちあがりました。
ものすごく重くて、ちょっとでも力を抜けばべたんとベッドに張り付きそうでしたけど。
その人影はかなり慌てているようでした。
金縛りを振り切るなんて考えられなかったんでしょう。
腕を精いっぱい持ち上げて、キッと人影をにらみました。
このまま腕を振り下ろしたところでへなちょこパンチがせいぜい。
声が出せればよかったんですけど、やはり出そうにない。
そこで私は、
「殴るぞ」
と低い声で(と言ってもイメージです)心の中で念じました。
それは、相手に通じたらしいのです。
その人影は、輪をかけて慌てた様子を見せるとすぅっと消えていきました。
あぁ、これでやっと寝れる。
腕をばたりとベッドに寝かせて、まぶたを閉じました。
いざ夢の世界。
身体の力を抜くと、不思議と体から重さが抜けていきました。
同時に、頭がやけにさえてきたんです。
――あの人影は、弟じゃない。
よく考えてみれば、あの影は 透 け て い た んです。
そのうえ、弟が私の眠りを妨げるようなことするはずもない。
弟に金縛りなんて特技があるはずもない。
しかも、ベッドのはしごは取り外していたんです。
だから、そこに立てるはずもなく。
心の声が通じた? それもありえない。
それに、消えていった?
――ありえない。
がばっと起きて弟のベッドを見ると、弟は寝ているようでした。
あそこまで足音を立てずに、こんな短時間で行けるはずもない。
しかも消えるように立ち去るなんて……
もちろん、弟には確認を取りました。
弟は寝ていたの一点張り。
あれは、一体なんだったんでしょう。
以上、私の心霊体験でした。
あれは幽霊だったんでしょうか。
……実は心当たりもあるんです。
子供時代に死んでしまった人が、知人に。
そうだとすれば……ちょっと悪いことをしてしまったな、と今は思います。
せっかく遊びに来たのに殴りかかるなんてねぇ。
しかし眠りを妨げるのは許せん。
この話をすると……笑われます。
いや、確かに心霊体験ぽくはないけど、れっきとした心霊体験だと思うんですがね。
話し方も悪いのかもしれないんですけれど。
そしてたいてい、
「普通の人が幽霊殴ろうとするか」
と、言われます。
だから弟だと思ってたんだってば(それはそれで女としてどうなんだろう)。
友人に至っては、
友「だったらさ、幽霊だと思ってたらどうしてた?」
私「やっぱむかつくし、脅かすくらいは(即答)」
バイト先の人には、
「きっと幽霊の方がビビったと思うよ~。
殴るぞ! なんて言われると思ってなかっただろうから」
ちなみに、この話をもとに小説家になろうへ投稿する予定だ、といってみたところ、
「ジャンルはコメディー?」
なんて聞かれました。
心霊体験が恐怖体験にならない。
数だけは体験しているはずなのに。
他の心霊体験も、怖い、というよりは、不思議、になってしまうんですよねー。
何ででしょう……
PR
トラックバック
トラックバックURL: